大曽根 勝也先生より兵庫医科大学炎症性腸疾患外科研修のご報告です。
大曽根 勝也先生より兵庫医科大学炎症性腸疾患外科研修のご報告です。
日本臨床外科学会の国内外科研修制度により、令和2年9月28日から10月23日までの4週間、兵庫医科大学の炎症性腸疾患外科で研修してまいりました。 兵庫医科大学は兵庫県西宮市武庫川の川沿いにあり、北には阪神電車、南には阪神高速道路が通り、大阪まで電車で15分、三宮まで電車で18分と非常に交通の便に恵まれた場所にありました。炎症性腸疾患における外科治療の分野において兵庫医科大学は日本が誇るhigh volume centerです。 研修ですが、手術は潰瘍性大腸炎の回腸嚢肛門吻合が3例、クローン病に対する腸管切除が4例、直腸切断術が3例(1例、クローン病2例)肛門病変の手術が4例、転院搬送2例でした。回腸嚢作成の手順や注意点、会陰操作のコツや注意点、クローン病では狭窄形成術と腸管切除の使い分けや腸管吻合に対する考え方、直腸切断術の適応や注意点、特有の肛門病変に対する考え方や手技、また緊急性を要する症例の対応など、教科書では学ぶことのできない炎症性腸疾患特有のテクニックや術中判断のロジックなど貴重なことを学ぶことができました。 外来診療も見学させていただくことができました。多忙な外来診療の中でも、初診の患者さんに対する気配りや説明の仕方、術後フォローの注意点やトラブルが起こったときの対処方法、さらには今後起こってくる問題点などもご教授いただきました。特に、日本人のクローン病に多い肛門病変に対する対処方法や考え方を学べたのは大変勉強になりました。また同世代の先生も多く、交流を持つことができたのがかけがえのない経験でした。 炎症性腸疾患という特有の病態での判断には専門知識が必要ですが、群馬ではなかなか遭遇する機会の少ない疾患を毎日学ぶことができ、濃厚な研修を行うことができました。今回の研修で得た知識と経験を基に、群馬における炎症性腸疾患の外科治療を発展させていきたいと考えています。